生産者プロフィール ​宮本 友信

 1956年生まれ。地元五箇山で、昔ながらの冬場のみ
生産を行う楮100%にこだわった和紙漉屋に生まれ育つ。

 高校卒業後、故郷五箇山を離れ都会へ出て働いたのち、家業を継ぐために23歳で実家に戻り、夏場は林業を行いながら冬場のみ和紙づくりを手伝う。

 和紙の原材料である楮、黄蜀葵(トロロアオイ)の自家栽培を行い、原材料にこだわる自家製楮100%の和紙を「悠久紙(ゆうきゅうし)」と名付けた。悠久紙は文化財保存修理・復元の和紙として、国内はもとより海外からも発注が入る。

五箇山和紙の歴史と現在

五箇山では加賀藩(現在の石川県)に和紙を生産して納めていました。地域の産業として、冬場だけ合掌造りの家屋の中で和紙漉きを行っていました。その証拠に明治3年に加賀藩から和紙の生産を五箇山で行うことを許可された許可証が残っています。戦後安価な紙へとシフトしていくことで、和紙の仕事が激減していきました。五箇山地域でも和紙の文化や産業として後世に残そうと色々な取り組みを行っていますが、少子高齢化などで担い手不足が課題となっています。

悠久紙へのこだわり

悠久紙は、当組合のオリジナルブランド。五箇山地域の和紙は「五箇山和紙」と長年呼ばれていましたが、楮100%にこだわる組合は、現在では当組合だけです。「人々に永久に使っていただく和紙」という願いを込めて悠久紙と名付けました。毎年、地域や五箇山にゆかりのある作家の方々に悠久紙を提供し、作品制作を行っていただく「悠久紙展」を行い、若い世代の方々にも悠久紙に触れていただく機会を作っています。

仕事へのこだわり


時代が変わっても、和紙の伝統と品質にこだわる当組合は、高品質な和紙の製造に努めています。文化財の修理・復元には500年もつ耐久性が求められ、パルプを使用しない「楮100%」の和紙は、本物を作り続ける想いと品質への信頼を重視しています。日本最大規模の楮畑を持ち、自家栽培で原材料を育成しており、「和紙漉き」だけでなく、楮の育成や冬の「雪さらし」などの伝統技法にも力を入れています。